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環境配慮と新規顧客の拡大を同時に狙う、海苔屋の化粧品開発!!

今の商品でアプローチ出来ていないターゲットは別の商品で狙う!!

OEM製造業で技術営業の経験が15年以上あり、開発から設計、薬事、購買、製造、物流、広告までディレクションしていた経験を活かして、中小企業診断士でもある私が明日から実践出来るようにわかりやすく解説します!!

目次

海苔屋が化粧品開発!!

海苔はお寿司には欠かせない食品です。

そんな海苔屋さんが化粧品を開発製造しました。

2021年に創業100周年を迎えた老舗ののり(海苔)専業メーカーのニコニコのり(大阪市)が、のり成分を活用した化粧品ブランド「EMILUS (エミラス)」を立ち上げた。第1弾商品として、フェースミスト「EMIL US ツヤ肌メイクフィックスミスト」を22年10月下旬から公式オンライ ンショップおよび電子商取引(EC)サイト「楽天市場」で順次発売する。

2022/10/19 日経産業新聞

海苔専業メーカー「ニコニコのり株式会社」は大変歴史があり、2021年に創業100周年を迎えた老舗企業です。

創業1921年(大正10年1月)
設立1950年(昭和25年6月)
資本金4億9,000万円
従業員数255名(2022年9月期)
年商107億円(2022年9月期)
ニコニコのり株式会社公式HPより

大正10年創業はすごいです。

そんな老舗海苔専業メーカーが繋がりが全くないと思われる化粧品をなぜ販売したのでしょうか。

その狙いを探って参ります。

海苔市場は縮小傾向、先細る需要

海苔は生活に馴染んでいるので、消費量は増えも減りもしていない印象は受けますが、現実は厳しいようです。

「06年度には95億枚 以上だった生産枚数が、この4年ほどは65億枚を切るようになっている」と 厳しい現状を訴えた。

2022/10/19 日経産業新聞

2006年には95億枚の生産枚数を記録していましたが、2018年〜2022年の4年ほどは65億枚を切っているとのことです。

この16年ほどで約7割くらいの生産量に落ち込んでいることになります。

海苔専業のニコニコ海苔にとってこの市場の変化は、非常につらい環境変化が起きていると言えます。

確かに海苔を家庭で使う場面は限られてくると思います。真っ先に思いつくのはご飯のお供やおにぎりや手巻き寿司での使用ですね。

まず海苔の需要は大きく分けると家庭用、業務用、贈答用の3つがあるようです。業務用は飲食店から食品工場まで多岐に渡りますが、海苔という製品特性はそこまで変化がないかとおもいますので、業用全ての需要に対応しているかと思います。

多少の違いはあるかもしれませんが、製品はほぼ共通で市場をtoB(業務用)、toC(消費者)および贈答用をターゲットにしています

上記の様にいくつかの市場をターゲットに製品を供給していますが、多くはおにぎりやお寿司などの用途への使用が想定されます。

海苔業界全般の課題かもしれませんが用途提案は需要促進の鍵かもしれません。

コロナ禍においては内食需要の増加により家庭の購買は増加しているが、都市部でのコンビニおにぎり需要が激減し、業務用が減少していることがわかります。

コロナ禍となり、在宅勤務が浸透。都市部を中心にコンビニおにぎりが低調に陥り、海苔入札価格を牽引してきたコンビニ用海苔原料の消化も減り〜

2021年2月5日 食品新聞WEBより

海苔の廃棄問題が顕著

18年度は46年ぶりののりの大凶作がニュースになったが、21年はこれ に次ぐ水揚げの少なさだったという。その理由は大きく(1)海水中の栄養塩の早期低下によるのりの色落ち(2)温暖化による生産期間の減少(3)漁業経営体の減少――の3つがある。 中でも深刻なのは、のりの色落ちだ。この現象は数十年間を振り返っても初めてのことで、のりの最低取引価格に達しないランクののりが大量に発生し、製品化できずに廃棄されるのりの増加を招いた。

2022/10/19 日経産業新聞

記載のある通り海苔にはランクがあり、最低取引価格に達しないランクの海苔が大量に発生しているようです。そのため、色が悪いだけで廃棄される海苔が増加して問題になっています。

この海苔の再利用や使い道を考えることは業界の問題を解決することに繋がります。

新規ターゲット層の獲得の難しさ

海苔は比較的年齢の高い方が消費する傾向にあり、海苔の市場を支えているのは高齢者であると言えます。

あなたは海苔が好きですか(2022年)
「MyVoice」のアンケートモニターより
70代
14%
60代
25%
50代
30%
40代
20%
30代
8%
20代
2%
10代
0%

海苔業界としては今後の消費拡大においては30代以下の方のシェア拡大が鍵になると言えます。

同社はそのための取り組みとして下記の様な取り組みをおこなっています。

ブームになったおにぎらずに対する商品展開

2016年頃「おにぎらず」がブームになり同社のおにぎらず用の海苔「瀬戸内海産おにぎらず塩のり」がヒットになりました。

平成27年 おにぎらずブーム。「瀬戸内海産おにぎらず塩のり10枚」が日本食糧新聞社制定「平成27年度 優秀ヒット賞」を受賞。

同社会社HP>沿革より

ブームは一時的なことですが、同社の様にすでに味海苔を展開しており、今ある設備で対応が出来る場合はブームに対応して需要を獲得することが大切になる一例です。

同社HPより

歌い手YouTuberとのコラボでターゲット層を深掘りしたヒット作

SNSを使う世代を中心にデコレーション弁当(略してデコ弁)が流行り、新たなジャンルが築かれたと言えます。

同社でもデコ弁のキャラ弁用海苔を多数ラインナップしています。

さらに同社ではYouTuberとコラボしたデコ弁製品を上市しました。

いれいすのり

「いれいす」はYouTubeでチャンネル登録数が多い歌い手さんです。

「いれいす」のファン層はキャラ弁よりもさらに若年層になることが想定できます。

その点で既存市場のターゲット層をさらに深ぼった製品と言えます。

既存市場を深ぼった戦略

反響はとても良いそうです。

既存市場を深掘り、若年層という新たなターゲットの獲得を様々な工夫で試みている同社ですが、その背景には海苔が好きな層の高齢化でした。

海苔の廃棄品の有効活用

海苔の色落ちなどで食用の規格に満たない廃棄品を有効利用できることは、同社のみならず、業界全体、社会全体にとって良いことです。

同社が展開した化粧品はその可能性を持ち合わせていると言えます。

海苔の成分である「ポルフィラン」という成分は美容成分として知られるヒアルロン酸にも匹敵する保湿力を持っていると言います。

今回展開する化粧品においては実際の廃棄品から抽出したものではなく、原料会社が原料として販売している成分を使用しているそうですが、まずは食品以外の使い道を開拓して、今後に繋げていくというのが狙いの様です。

同社の業界や社会の問題を解決するテーマは同社の知名度を上げることや、社会的な存在意義を示すこととなり、海苔の販売に少なからず寄与すると考えられます。

別の形で海苔に触れてもらい、接点を獲得する

キャラクターやYouTuberとのコラボを通して若年層にアピールすることは「現時点」で海苔に興味があるそうがターゲットになります。

同社はそれを改善するために化粧品を展開したと言えます。

■ターゲット層に新しい形で訴求したい 

化粧品開発に乗り出した理由はもう一つ「事業課題の解決」がある。同社では20~30代女性の食品としてののり離れを危惧しており、「 化粧品であれ ば、のりを食べない若い女性にものりの魅力を発信できる。ターゲットにアプローチするにあたり、新しい形で届けたいと考えた」(白羽社長)。

2022/10/19 日経産業新聞

同社の化粧品の展開は海苔を食べない新市場に対して、化粧品という新製品を展開するものです。

化粧品OEMの会社に対して、OEMで製造して同社に今までノウハウの少ない化粧品開発を行なっています。

海苔に興味がない女性が、化粧品を通して同社を知り、同社の海苔製品も購入するという流れを狙っています。

まとめ

今回は創業100周年の老舗企業が時代の変化に対して、果敢に挑み変化を遂げようとする事例の紹介でした。

このままでは新世代の顧客をつかめず、売上が先細りしてしまうという危機に対して、非常に参考になる事例でした。

私は15年以上OEM業界に身を置いており、スキンケアやオーラルケアの開発について専門性がございます。

中小企業診断士として補助金の活用も見据えて戦略を検討致します。

ご用命の際はお問合せフォームからよろしくお願い致します。

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この記事を書いた人

化粧品開発コンサルタント/中小企業診断士(登録予定)
15年以上OEM業界で技術営業の経験があります。
自らが中小企業に勤務していたため、理論ではなく実践的な解決策を提案できます。
また、OEM企業側の勤務であったため、OEM企業側のコンサルも得意としています。

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